五臓の腎
五臓六腑理論は私たちの祖先の健康を守ってきた中医学の知恵です。昨今と違い、江戸時代までは日本人の常識になっておりました。
中医学において腎は泌尿生殖器系、内分泌系、遺伝、生殖、発育、老化などの中枢神経系を一つにした機能体系と考えております。そして、腎の強化が元気で長生きの秘訣ともなってくると考えられるようになりました。そこで、連載最後の5回目は「腎」のお話です。
現代医学の腎臓の解説
腎臓は腰の上あたりに左右一つずつあり、そら豆の形をした臓器です。一個の大きさは、こぶしより小さく成人で150㌘前後
その働きは…
1,血液の老廃物の排泄
2,水分の調節
3,電解質バランスの調節
4,ビタミンDの活性化
5,血液を弱アルカリに保つ
6,造血刺激ホルモンの分泌
7,血圧の調節を行う
8,不要になったホルモンの分解・排泄
中医学における腎の役割
中医学の腎な働きは非常に広範囲になっておりますが、その最も重要な作用は生命力を蓄え、また新しい生命を生み出すこととしています。そして、腎の作用と性質を以下の通り見ていきましょう。
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①先天の精(せい)を蔵す
先天の精とは約46億年前に生命が発生して以来、営々と伝えられてきた命の火のこと。中医学では命の火を宿す臓器が腎であり、個体の一生の消長(成長→発育→老化→死)は腎によって支配されていると考えられております。
②骨を主り、髄(ずい)を生ず
体内のカルシウムをコントロールし、骨や歯を育て、さらに骨の中心部にある骨髄を養う作用があるとされます。骨髄の中で一番大きいものが脳髄ですから、腎は脳を養っていることにもなるわけです。骨髄は血液細胞や免疫細胞などを作っていることから腎が弱ると骨粗鬆症、健忘、痴呆、不眠、貧血、免疫異常などにも関わってくるということです。
③水を主る
人体の60~70%は水から成っています。全身の水分のめぐりや水分の活用をコントロールしているということ。
④納気(のうき)を主る
空気の吸入は横隔膜が収縮して行われますが、腎が弱ると下腹部の力が弱り、空気を十分に吸入することができなくなります。高齢者のぜんそくや肺炎などには、ご注意を…
⑤耳に開窮(かいきゅう)する
五行説から腎は耳につながりのある器官です。このため腎が弱ると耳の聞こえが悪くなります。また、メニエール病のような内耳の異常も関係してきます。
⑥黒色は腎に属す
肌色が黒ずんできたりしたときは腎の異常が考えられます。
⑦塩味は腎に属す
塩味は少量では腎を助け、過量だと腎と相剋(そうこく)関係の心を傷つけます。
元気で長生きのために「人生=腎精」(じんせい=じんせい)でいきましょう。
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